プロローグ

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彼の存在に気が付いたのはちょうど一ヶ月ほど前のことだった。 今のように昼食のパンを買うために、店内のフロアで品定めをしていると、焼きたてのパンの乗った天板を片手に、男性スタッフが現れたのだ。 この店に訪れるお客さんにとって、焼きたてのパンほど魅力的なものはない。 店内にいた客が彼が商品棚にパンを並べ終わるのを今か今かと待っている。 私も例外ではなく焼きたてのパンは大好きだ。 ただ、私が他の客と違ったのは、 彼が棚にパンを並べ終わるのを待ちきれず、彼に話しかけていたことだった。 「もしかして、新作ですか?」
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