プロローグ

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それほど広くない店内に客はまばらだった。 ほんの数時間前は入り口付近まで行列が出来ていたはずだ。 私はその混雑を避けてやってくるので、店内をゆっくりと回ることが出来るのだ。 昼のピークを過ぎて、午後の二時。 私の空腹感がピークになる。 この場合、ついつい買い過ぎてしまう傾向にあるので注意しなければならないが、どのパンを見ても美味しそうなのだから、よっぽどの注意が必要なのだ。 「どれにしようかな……」 店内を徘徊し、独り言も無意識に零れ落ちる。 すると、奥の調理場から私を呼ぶ声がした。 「霧島さん!今、クリームパン焼きたてですよ!」
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