彼女が求めた物語

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A「ここ禁煙ですよ?」 B「あぁ…すいません」 A「違いますね。正しくは『すみません』です」 B「え、あ…すみません」 A「本はお好きですか?」 B「活字は苦手で…」 A「私、この小説の探偵が推理をしながら気怠く煙草を燻らす仕草が好きで…」 B「くゆ…?」 A「…あなたみたいな人ってことです」 B「ほう?」 A「ふふ。これから図書館に行くのですが一緒にどうですか? あなたとなら事件が起きそう」 B「はは、俺が君を誘拐なんて冗談はやめてくださいよ?」 A「いいですね。一緒に起こしましょうよ。大事件」 B「…え?」 A「図書館に本を返却したのが最後。行方不明の女子高生。それをあなたが探す物語です」 B「はは、何言い出すんですか」 すいません。だ。 火を付けたら現実になる。 消えた彼女が愛した推理小説。 放棄できない夏の読書感想文。探偵は気怠く狼煙をあげ始めた。
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