第1章

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人魚――それは人と魚が合わさった空想上の生き物。 江戸時代には、既に見世物として商売が成り立っていた。 人魚のミイラというものをテレビで見たが、あからさまに猿のような動物と魚をくっつけたようなもので、これを見世物としていたなんて、いつの時代も商売魂は凄まじい。 また、その肉を食べると不老不死になれると言われており、人間の貪欲さが良く分かる。 そんな人魚が今、僕の目の前にいる。 艶のある漆黒の髪に、同じ色をした大きな瞳。 下半身は錦鯉を思わせるような朱色と白のまだら模様の鱗に包まれた、とてつもなく可愛い女の子だった。 着物を切ったような布を胸に巻いているだけで、白い肌を惜しげもなく晒している。 ただし、ここは池だ。 何故、人魚がいる!?
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