第1章

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近所の古びた寺の池の掃除を頼まれ、ボランティアで来たものの、何故か可愛い人魚がいる。 なんだ、これは!? 夢か!?夢なのか? だいたい、人魚って海じゃねーのかよ! 池って何だよ。その場合、河童が妥当じゃねーの? と、そんなこと口には出せず、ただ固まっている僕を見て、人魚が口を開く。 「あの、私、人魚に見えますか?」 はい? 人魚に人魚かと問われているのだろうか? 何を言っているのか、意味がさっぱり分からない。 ってか、可愛いな!おい! 声も言い方も少し上目遣いの潤んだ瞳も、戦略か? 「あ…あの…?」 色々考えながら僕は人魚らしい彼女を睨み付けていたようで、恐る恐る問いかけられた。 「あ、いや、あの…あ、あははは…」 僕は気まずくて笑って誤魔化した。 「…あの!私、人魚に見えますか?」 人魚らしい彼女は意を決したのか、力強くもう一度問いかけてきた。 人魚に見えるかと聞かれても、人魚以外なんだというのか。
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