第1章

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「ねぇ」 辺りを見回しても誰も居ない。 「ねぇ、聞こえてる?僕だよ。」 「…え?誰?」 空耳かと思いきや、更にハッキリと聞こえた声に、咄嗟に返事をしてしまった。 「お願い、聞いて!」 ーーゴトン、ゴトンーー 電車の近づく音だ。 「駄目!乗っちゃ駄目!」 鬼気迫る警告と共に、何故か金縛りの様に体の自由が奪われた。 「あの電車は、この先の踏切で車と接触し脱線する。僕は約束したから。君を守るって!」 「…ぅう…」 その懐かしく温かい声が、誰のものかに気付いて涙が溢れ出る。 『僕がずっと守ってあげるからね!』 いつも近くで守ってくれていた幼馴染み。 不慮の事故で突然逝ってしまった…。 「有難う。今でも私のこと守ってくれていたんだね」 「約束守れて良かった…」 幼いらままの彼が、私の前に現れ優しく微笑む。 ーーそして、消えてしまったーー
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