第1章

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長い間、戸惑ったような惑星でした。 降りしきる雪の真ん中で、発熱し尽くした立方体。 その意志を嗅ぎ取るには、三億光年の静寂が必要だったのです。 どれだけの猛者達が、激しい気流に流されて、無重力の植物園で正気を失ったことでしょう。 我々の想像力は蛇の卵ほどの輪郭しかなく、伝説や神話の初期宇宙では、海月の見る夢のようなものだったのです。 無数に湧き立つ生命の可能性の中で、複製された神殿を、月と蠍で埋め尽くしたのが人間だったのでしょうか。 随分と長い間、戸惑ったような惑星でした。
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