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■終末の花園(メインストーリー終着点)
――――黒田研究員――――
「いよいよ、始まるのか」
目の前には、透き通るような水が張り巡らされた湖が広がっている。
その中央には、神々しく輝いた終末の木が立っている。
私はその儚い輝きを眺めながら呟いた。
これまでに死亡したプレイヤーたちの体内エネルギーを集積し、ついに成熟した終末の木。
これで、世界が変わる瞬間を迎えることが可能だ。
しかし、私の胸には後悔という気持ちしかない。
何故、このプロジェクトに乗ってしまったのか。
今となっては、いくら考えたところでどうしようもないのが現実だ。
私がいくら反対したところで、計画が止まることもなかった。
あとは、私が信じたプレイヤーたちを待つことしかできない。
ブラックスターの天海は、見事に私が作ったシステムを乗っ取ってくれた。
チーム対抗戦のシステムをハッキングされたことで、システムの改善を要求されていたが、セキュリティーを厳しくするように見せかけて、実は彼女にのみ解きやすいように作り変えたのだ。
これでプレイヤー側には、だいぶ有利になったはず。
あとは、ヒカルを選んだのが吉と出るか凶となるか。
そして、もう一人。
私は、終末の木から視線を外して、湖のほとりに建てた小さな研究室に視線を移した。
少し大きな窓からは、外からでも研究室の中が見えるような作りとなっている。
窓の向こう側には、私が作った特殊な生命維持装置が置かれている。
その中には、一人の女性が入っていた。
佐々木はるか。
彼が、ここまで辿り着けるかだな。
どのような結末になっても、私は受け入れよう。
それが作った者の責任だ。
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