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――――渋谷和也――――
月に到着した俺たちは、かぐや姫の案内の元、宮殿内のメインストーリーの扉の前まで来た。
宮殿内の他の扉よりも、ほんの少しだけ大きくて、ほんの少しだけ豪華な装飾が施された扉。
この先が、本当のメインストーリーに続いている。
俺は緊張しながらも扉を見ていると、かぐや姫が扉の前に立ち、俺、仁、美沙、杏奈を見渡しながら言った。
「皆さん、この先に行ってしまっては、もうこの場所には戻ってこれません。覚悟はいいですね?」
かぐや姫は、扉のノブに手を掛けながら話し続ける。
「メインストーリーは全部で10層の作りとなっています。深い層に行けば行くほどゴールが近くなっていきます。終末の木は、その最深部である第10層にあるはずです」
「あるはず……?」
仁が気になったようで、かぐや姫に疑問を呈するように言った。
「はい。正直に申し上げると私もそんな深い層には入ったことがないので絶対ではありません。というよりも第9層と10層は本当にごく一部の者しか入ることが許されていないのです。でも、第10層には龍の心臓部があり、そして終末の木がある事は明白です」
「わかった」
かぐや姫の言葉に、仁は納得した様子で扉に視線を戻す。
「それではみなさん、開けますね」
かぐや姫が扉を開くと、その先には暗黒が広がっていた。
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