第1章

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A「あの……席、ここあいてますよ」 B「あ、いいんです、僕なんか地面で」 A「でも……汚れるし」 B「今からヨガをするので、床がいいんです」 A「えっ?」 B「まずは立ちあがり……スー、ハー……両手を上に伸ばし……頭上高くで合わせ……太陽礼拝のポーズ……を、始めると思いきや、足を前後に開いて英雄のポーズ!」 A「……」 B「思いきり天を仰いでるから話しづらいけど、僕、隣のクラスの田中ヒデオ!えいゆうと書いてヒデオ!ま、町田さん、いつも本読んでて、その、僕のことなんか知らないと思うけど、さ、僕たちもう卒業だし、町田さん地元から出てくって聞いたから…だから、な、名前だけでも覚えて帰ってくださいね~、って芸人っぽく言ってみたりして…って、あ、あれ?」 反応を窺うべく英雄がチラ見すると、彼女の姿はすでになかった。 B「……そりゃそうだよな」 肩を落とし長椅子に座ると、紙片が落ちていた。 B「しおり、だ」 そこに書かれていた文字は。 『田中君ヨガ好きなんだ』
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