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永い恨み
姉の息子が、やたらとウチの猫をイジメようとする。
叱っても諭しても聞かず、気づけば猫に悪さをしようとしている。
少し前までは、猫自身が危険を察知して逃げていたからよかったけれど、最近は年のせいか動きが鈍くなって、素早く逃げるということができない。
だから姉には、なねべく甥っ子を実家に連れて来ないでくれと言っているし、やむなく連れて来る時は、前もって判っていれば、猫を信頼のできる人に預けるようにしているし、突然の場合はケージに入れて、手が出せない場所に隠している。
そうまでしているのに、甥っ子はウチに来ると実に執念深く猫を探そうとする。
それを毎度注意しているけれど、本当に聞き分けないから、どうしてそこまでウチの猫をイジメるのかと、真っ正面から問うてみた。
「だって、アイツのせいで僕は死んだんだもの。お母さんもおじいちゃんもおばあちゃんもオジちゃんも、みんな、『猫のしたことだから仕方がない』って言ったけど、僕は殺された立場だもん。爪も牙もとっても痛かったこと、まだ覚えてる。だから絶対許さない」
回答の意味が判らず、俺はただ首を傾げた。
ウチの猫が甥っ子を殺した? そんなことがある筈もないのに、この子は何を言っているのだろう。もしかして、変な夢でも見て、長いことそれを信じ続けているのだろうか。
そう思い、誤解を解こうと甥っ子を見つめた。その瞬間、ふと、懐かしい感覚が意識をよぎった。
甥っ子が、黒目がちの瞳でじっと俺を見つめてくる。その瞳に、甥だからという以上の見覚えがあった。
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