イチニツイテ

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「あ、俺の名前覚えてくれた」 箱をに手を触れると、ピコンと軽快な音が鳴って、アラーム音が止まった。 「これって」 青天が言う。 「どうすんだよ。これ、どうすんだよお前」 「よかったやん」 「は?」 「青天のオチ。箱手放せてハッピーエンド」 「なんで。お前何かしたか」 「ううん。箱触っただけ」「だよな」 箱を見つめる。 「どうすんだよお前」 「笑って」 「は?」 「ハッピーエンド。笑って」 「全然ハッピーじゃないだろ」 「俺はハッピー」 「お前なぁ。その箱手にしたらどうなるかってわかってんだろ」 「うん。オチ考えなあかんね」「お前なぁ」 「死なない、笑顔で終われるオチ考えるよ。でも俺頭よくないからぁ、相方に聞いてみる」 「信じてもらえないと思うけど」 「そしたら別のオチ、頑張って考える」 今は何も思いついていない。ただ、死ぬオチが避けれた事だけがうれしい。友達は、青天はもう目の前では死なない。 暗くなりかけた空を眺める。明日もきっと晴れる。 「青天はトイレ。 俺は……、ほっぺ痛いから帰る」 「お前、いいのかよ」 「うん」 「なんでそんなのんきなんだよ。大変なんだぞ?いいのかよ。それでいいのかよ。なあ、十鳥!」 振り返って、笑う。 「なんだよ」 「名前」「は?」 「呼んでくれた」 「……」 「頑張るよ。とりあえず。 とりあえず、ほっぺ痛いから帰る」 「……なんだよ、それ……」 青天が笑っていた。 呆れてかもしれない。でも、笑っていた。それでいい。 笑って終わるオチ、初めて作れた。
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