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私も聴きたい。
聴いてもらいたい。
私を知りたいと思ってくれる、今目の前で生きてくれている先生に。
指を持ち上げ、先生の頬を挟む。
白いさらさらの頬は、微かに強張っていた。
微笑んでみたかったけれど、私の頬もうまく動いてくれたのかは分からない。
「……先生……好きです」
指が剥がれてしまうほど、頬の筋肉が上向いた。
持ち上げるように抱き上げられて、頬と頬を合わせる。
もう強張っていなかった。
「……好き」
ようやく届けられたたった一つの言葉を、ひたすらに繰り返した夜だった。
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