うさぎ

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「俺は……」 そのまま言葉が止まってしまったので、私はそろりとまた手を後ろに伸ばす。 擦り寄るように触れてきたのは、柔らかな頬だった。 「……もうずっと、一人で大丈夫だと思ってた。別に傲慢だからというんじゃない。まだまだ半人前だし、他人にも頼る。 でも、俺は支える側で。医師だし、祖父も歳だったし、俺は支える側になったんだ、なれたんだと思ってた」 先生が私の手を取る。 頬から外され、両手で挟みこまれた。 そのまま額に当てられる。
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