うさぎ

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きっと、こうして言ってみれば良かったのだろう。 助けてと、言えば良かったのだろう。 それをずっと待ってくれていた人がいてくれたことを、私は分かっていなかった。 「先生、あの……私、怖がりで、意地っ張りで、人並みのこともできなかったりしますけど……でも、これからも……先生に頼っていいですか? 好きでいても、いいですか?」 昨夜泣きすぎて、すっかり腫れぼったい眦から、懲りずに熱いものが溢れる。 先生は昨日、何度でもそれを拭ってくれた。 今も呆れたように小さく笑い、指先で雫を払った。
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