うさぎ

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「せんせっ……怖い」 「ああ、すみません」 その場には降ろされず、手を離してくれたのは、ソファに座った先生の上でだった。 ようやく肩に回していた手を外そうとすると、咎めるように両手を捕まえられてしまう。 「大丈夫ですか?」 「だ……大丈夫じゃないです」 ふるふる振る首を止めるように、手の甲で頬を撫で上げられた。 体中の産毛がぞわりと逆立つ。 迂闊に大丈夫と言ってしまった後悔は、昨夜したばかりだ。 「いつでも “大丈夫” と言うのだと、決めているのかと思ってましたけど」 「……もうやめようかと。……先生には」 「かわいいとこあるじゃないですか」
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