うさぎ

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思わず膨れた頬を、引っ張られる。 相変わらず子ども相手にされているようで、悔しさが募る。 「拗ねないで。意地っ張りの自覚くらいあるでしょう?」 「先生こそ……ッ」 言いかけた唇を、親指で押さえ込まれた。 「名前で呼んで」 「え?」 「勝将」 息をしようにも、首を振ろうにも、先生の指が口に入ってきそうで、瞬きしかできなかった。 ようやく平静を取り戻していた体が、周囲の空気が、また熱を孕んでいく。
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