うさぎ

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「子どもに言うみたいに、言わないでください」 すぐに張ってしまう虚勢は、合わせた唇で暴かれてしまった。 「……震えてる」 恐怖と安堵からの震えが消えてから、別の感情に揺さぶられて震えが起きて、またそれが収まるまで、ずっと優しく口付けてくれた。 誰もいない家に上がることを遠慮されたけれど、少し遅めの昼食を作ってもてなした。 二人が帰ってくるのは夜、もしかしたら遅くなるかもしれない。 昨日は、大学の入学手続きと不動産屋さんの紹介でほぼ終わっていたはずで、今日一日で内覧して契約まで済ませてこなければならないからだ。 「良い部屋があればいいですね」 「本当に」
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