うさぎ

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湧き上がっていた怒りや戸惑いが、有耶無耶にされていくのが恨みがましく、目線に込める。 「そうでもないと思うけど」 「そっ、そうなんですか!?」 先生は、何でもないふうにさらっと言い返す。 同じように流せるスキルは、まだ私になかった。 怒りが羞恥に負けて、目が泳ぐ。 「そうですよ。そのくらいの覚悟がなきゃ、あんなこと言えないし、あなたに手出せないでしょう」 「手……っ」 手を出したとか言わないで欲しい。 抗議できないよう強く摘まれたまま、悪びれずに笑った唇が寄せられた。
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