はる

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「良い名前だね」 「ふうちゃんも、良い名前じゃないか」 「そうかなぁ」 展望台の手すりに寄りかかる。 下を覗きこむと、ちょうど望が顔を上げたところだった。 手を振ると、こちらに歩き出した。 「お父さんもお母さんも、どうして芙紗子なんて名前にしたんだろうね。子どもが “うさこ” って呼ばれるの、想像できそうなものじゃない?」 兎川芙紗子。 字面はなかなか綺麗だと思う。 でも、ちょっと考えたら、「うさこ」という渾名がつくことくらい、分かるだろう。 今は気にしていないけれど、小さな頃は、結構嫌だった。
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