はる

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「子どもの頃、空が怖かった」 「……空が?」 ゆっくりと瞬きをした先生が、見上げていた顔を下ろす。 「子どもの頃、お天道様が見ていますよって言われたことはない? そして、死んだ人は星になると。昼はお天道様が見張っていて、夜は夜で死んだ人がこちらを見下ろしている。とりたてて悪いことをしていたわけじゃないけど、いい気はしなかった」 そんなふうに考えたこともなかった。 空はいつだって広くて、ひどく高いものだった。 私は、黙ることで先生の言葉を促す。
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