はる

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「母は、星になったのだと言われた。そんなふうに言い聞かせるような年齢でもなかったのにね。そのうち、祖母もいなくなった。そして、祖父も」 立ち止まりそうなほど、歩みを緩めながら、私は隣に手を伸ばす。 殆ど自分から伸ばしたことのない手を、隣の大きな手に触れさせた。 私の両親も、星になっているのかもしれない。 この広い広い空のどこかから、光を送ってくれているのかもしれない。 遥か何万光年先から、光を届けてくれる恒星もいい。 たとえ満月の明かりに霞んでも、たとえ昼間は見えなくても、絶えず照らしてくれている星も大事だ。
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