はる

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でも、私はこの温もりを届けたい。 今、私がすぐ傍にいるのだと伝えたい。 応えるかのように、先生の長い指が、私の手を包んだ。 「今日の夕飯は、何?」 「特に決めてなかったんです。先生に訊いてみようかなと」 「お腹が空いたから、簡単なのがいいな」 「すぐにできるのなら、ソテーですかね。鶏肉があるんです。照り焼きとかトマトソースとか、味付けは割りとなんでもできますよ。あとは、親子丼とかオムライスとか」 「オムライスで」 「即決ですね」 「外で食べないから。俺も作れるようになりたいから、教えて」 「もちろん、いいですよ。そしたら、私に作ってくださいね」
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