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「なあ」
彼女をチラリと横目で見る。
長い黒髪、白い肌、眼鏡、セーラー服、小説持った文学少女。
そんでもって巨乳とか。
「設定盛りすぎじゃね?」
全部乗せかよ。
「そうかな……写真通りでしょ」
「アメリカンなバスト以外はな、どんだけパット入れてんだよ」
「パットじゃなくて小玉スイカですー」
地元の特産品がスッポリ入るのが彼女の自慢らしい。
俺からしてみれば、その胸の許容力を考えると哀しくなってくる。
と、そんな馬鹿話をしてる内に線路の向こうから列車が走ってきた。
「さ、仕事だぞ オバサン」
「二十歳をオバサンと呼ぶな」
俺と彼女にしか見えない半透明の列車、廃線になった道を三十年も走り続け想い人を探し続ける、かくも美しい夏の魔物。
「本当に大丈夫なんだな」
「うん、今回は一人でやらせて」
だけどもういいんだ役目を終えろ。
「……私のおじいちゃんなんだからさ」
たった『一人』を乗せた真昼の銀河鉄道よ。
END。
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