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「…は?」
「うん、じゃあね」
そう友達とまた明日ね、と言うように別れようと宣言したのは大手会社のOLをしている26歳の女、伊塚 紫陽(イツカ ユウヒ)である。
「いやおかしくない?だって俺ら…四年付き合ってるんだぞ?」
「でもさぁ、お金なかったら意味なくない…?」
「っ…で、でも!就職先すぐに見つかるかもしれないし…」
「あはは…私そういう待つの苦手なんだぁ…」
といい放った。彼女は長年持ってた飽きたおもちゃを捨てた。それくらいの気持ちだろう。
「ま、待ってくれよぉ!お、俺頑張るから!」
そう言って彼は紫陽の足元に寄り、スカートを掴み懇願した。
「…しつこいなぁ」
「頼む!捨てないでくれ!」
「バイバイ」
無理矢理振り払い、彼女は四年もの交際を築いた彼と別れた。迷いも全くなかった。普通なら少しは戸惑い涙でも見せるのだろうが、彼女はなかった。これが彼女の生き方である。いつでも自分の保身に走る。そのためなら他人を蹴落とすことさえ躊躇わない。
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