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「なんだよ、じっとこっちみて」
「いえ……この小説の登場人物の一人が、あなたによく似てるなって。主人公の少女と幼馴染みで、性格も容姿もあなたそっくり」
「へえ」
「この状況も今読んでいる部分にそっくり。夏の田舎、木造の待合室で、主人公と彼が一緒にバスを待ってるの」
「不思議なこともあるんだな。主人公もお前に似てるのか?」
「いいえ。ボーイッシュで眼鏡もかけてないし、私みたいに本も読んでないわ」
「さすがにそこまで一致しないか」
「そうみたい。あ、やっと告白した」
「へ?」
「その彼が主人公に。これ、ベタな恋愛小説じゃないんだけど、どうなるのかしら」
「……主人公の返事は?」
「まだだけど? きっと次のページだと思う」
「まった」
「え?」
「まだ、めくらないでください」
そう言った彼の顔は、真っ赤に染まっていて。その意味を理解して、私の顔も真っ赤に染まった。
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