第1章

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ヤバイ、待ち合わせ時間遅れる。 今日の俺はとことんツイテない。 寝坊はするわ、道を歩けば水をかけられるわ、散歩中の犬にはほえられるわ。 しかも時間の厳しい彼女に今から怒られなきゃいけないわ。 「ゴメンっ! 遅れたっ!」 慌てて待ち合わせ場所のバス停に着く。 彼女は一冊の文庫本を手に持ったままゆっくりと視線をこっちに向けて来た。 一言目に何を言われるかと生唾を飲み込んだとき、 『ねえ、あなたの後ろの人知り合い?』 「…えっ?」 彼女の目には誰が映ったんだろう? 僕一人でここに来たのに………。
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