薄っぺらな女。

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薄っぺらな女。 いつも涼やかに頁を捲る純真無垢な君は、けれどそういう女性だった。 名前も知らないゲス共に買われ。 無数の脂ぎった手に玩ばれ。 汚ならしい豚共の身勝手で君は何度、望まない婚約を強いられたのだろう。 そうして手に入れた一方的な相思相愛にも、奴らは瞬く間にさめて、新しく見初めた嫁に大金を注ぎ込んだ。 だのに君は何も言わない。 表情ひとつ変えはしない。 だから代わりに僕の心が憤るのだ。 初めてのセカイで初めて出逢った君への初恋は、今もこの胸でモえている。 セカイの誰よりも穢れなき本当の君を。 時間の流れなどでは移ろうことのない、瞬間瞬間の君の感じる全ての事を。 君がたとえ黄ばんでミにくくなっても、僕は一生君を手放したりしない。 だから、 「結婚しよう!マリっ」 「いい加減ライトノベルに逃避するの止めなよ、お兄ちゃんっ!」
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