エピローグ

3/3
46人が本棚に入れています
本棚に追加
/97ページ
龍一は、 「お前が必ず俺の元に帰ると約束してくれたから、他の人間にも、そういう相手がいるのかと想像したんだ。だから殺さなかった。美百合、褒めてくれ」 おつかいが上手に出来たから褒めてくれのノリだが、内容はとんでもないことを言っている。 めちゃくちゃ恐ろしい。 だが龍一は甘えるネコのように、その茶色い頭を美百合の方に向けて傾けている。 美百合は多分、 『龍一の冗談、相変わらず笑えないわぁ』 とでも思っているのだろう。 頬をふてくされさせたまま、 「ハイハイ」 なんて投げやりに言って、それでも腕を伸ばして背伸びをし、有坂龍一の頭を、 『イイコ、イイコ』 と撫でてやっていた。 「!」 この天変地異を誰に知らせたらいい? 桜庭か? それとも、バカ皆人か? いやしかし……。 谷口は考える。 『いま余計なことをすれば、またしばらく家に帰れねーな』 だから、 『こんなはた迷惑な夫婦、誰も理解してやる必要なんかねーわなぁ』 と思いながら、固く口をつぐむことにする。                Fin
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!