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2 ラベンダー(疑惑)
美百合が目覚めると、そこは見知らぬ天井、見知らぬ場所だった。
木造のまるで古い校舎のような壁や窓。
空き教室のような殺風景な部屋とは呼べぬ空間。
照明器具も学校や会社で見る、天井に張り付いた長細い蛍光灯だ。
なんだか昭和にでもタイムスリップしたような奇妙な場所。
床も飴色の板張りで、美百合のいる場所にだけ畳が敷かれて、そこに一組の寝具を敷いて寝かされていた。
美百合は目だけで辺りの様子を探ってから、ガバリと起き上がる。
風に触れる素肌にギクリとしてはだけた胸元に手をやれば、襦袢のような淡いピンク色の肌着を着せられている。
夕べのあの情事の記憶は――。
心臓が激しく脈打つ。
夢だったのだろうか、夢だと思いたい。
美百合の身体は綺麗に始末されていて、目に見えるような痕跡は残っていない。
でも、夢にしては生々しすぎる。
そして美百合には、この襦袢を自分で着た記憶がない。
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