1 アザミ(復讐)

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とにかく外見はそっくりだが、男は有坂龍一ではないということらしい。 この世には整形という技術もあるから、現実的にそれは可能だろうが、こんな目立つ男の容姿に整形しても、何もメリットはあるまい。 しかし、女にモテたいとかそういうレベルなら、話は別だろうが。 とにかく今のままでは、呼び名に困ると告げると、男は少し考える仕草をして、 「蒼って呼べばいいよ」 ぶっきらぼうに答えた。 『蒼(そう)ね』 プロフェッサーはその名を記憶して、その日は男を残し事務所を後にする。 蒼の監視だとか拘束だとか、グループに命じても無駄なことだろう。 蒼とメンバーの力量はあきらかに違いすぎる。 雑魚でもこれ以上、数を減らされたらかなわない。 それにしても、有坂龍一がこの件に乗り出してきたという情報は貴重なものだ。 今現在、姿を消してしまったという事実も。 それが本当なら、計画はいよいよ山場を迎えたことになる。 かの国の王女の来日まで、あと一週間。 プロフェッサーの目的は、時期女王となるはずのその女を、ここ日本で暗殺することにあった。 結果、国際問題にでも発展すれば、教授の目論見通り。 日本とかの国が断絶すれば、今後の某国での活動も容易になる。 そのためにも、今回の計画は失敗するわけにはいかないのだ。
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