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とにかく外見はそっくりだが、男は有坂龍一ではないということらしい。
この世には整形という技術もあるから、現実的にそれは可能だろうが、こんな目立つ男の容姿に整形しても、何もメリットはあるまい。
しかし、女にモテたいとかそういうレベルなら、話は別だろうが。
とにかく今のままでは、呼び名に困ると告げると、男は少し考える仕草をして、
「蒼って呼べばいいよ」
ぶっきらぼうに答えた。
『蒼(そう)ね』
プロフェッサーはその名を記憶して、その日は男を残し事務所を後にする。
蒼の監視だとか拘束だとか、グループに命じても無駄なことだろう。
蒼とメンバーの力量はあきらかに違いすぎる。
雑魚でもこれ以上、数を減らされたらかなわない。
それにしても、有坂龍一がこの件に乗り出してきたという情報は貴重なものだ。
今現在、姿を消してしまったという事実も。
それが本当なら、計画はいよいよ山場を迎えたことになる。
かの国の王女の来日まで、あと一週間。
プロフェッサーの目的は、時期女王となるはずのその女を、ここ日本で暗殺することにあった。
結果、国際問題にでも発展すれば、教授の目論見通り。
日本とかの国が断絶すれば、今後の某国での活動も容易になる。
そのためにも、今回の計画は失敗するわけにはいかないのだ。
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