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足にまとわりつくのが鬱陶しい。
苛立ちをぶつけるようにザクザクと白い道を踏み荒らした。
体調が悪いわけでもないのに体はガクガク震えるし、手も足もいつも通りに動かない。
”息”を吐けばそれは白く染まる。
「なんなんだこりゃ」
男は冬というものを初めて体感していた。
そんな初めての中にも知ったニオイがあった。
北風に運ばれてきた血の匂い、人の臭い。
それも、大量の。
ぐぅと腹の虫がなる。
誘われるように、男の足は自然とニオイのするほうへと向かっていた。
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