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「この裏切り者が!」
「裏切るもなにも、オレとオマエはそもそも仲間でもなんでもない…ってなんかどっかで聞いたことあんなぁ」
耳をかっぽじりながら、そんなことを呟いていると、とうとう最後の番人らしい男が倒れた。
死んだか否かは知らない。
というか、どうでもいい。
それよりも、気になることがあった。
ヒトの匂いがした。
この上なく、欲を極限まで昂ぶらされるような刺激的な芳香。
「こっちか?」
牢の奥から微かに匂う。
その方向をジッと見つめたが、暗くて何も見えはしなかった。
吹き抜けてくる冷たい風にぶるりと体を震わせ、1つ息を吐くと、歩みを進めた。
(子供がひぃ、ふぅ、みぃ…いっぱい。うん、超いっぱいだ)
1つのニオイに気をとられすぎていたが、その牢は人の子のニオイと腐臭で溢れていた。
鼻が逝かれそうなほどにドぎつい臭いだ。
いったいこれだけの子供を集めて何に使うのか。
…まぁ、それもどうでもいい。
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