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美百合は手のひらをウチワ代わりに、のぼせた顔を仰ぎながら焦っていた。
龍一はクールな顔をして、あれでなかなかの情熱家なのだ。
一緒に暮らし始めた頃は、夜になると、美百合のことを片時も離さなかった。
父親が一緒に暮らしていなければ、濃密度はもっと濃くなっていただろう。
美百合は自分の頬を手のひらで押さえて、いやいやいや、と激しく首を振る。
思い出してみれば、我が夫ながら、かなり無茶をやる人だ。
いつだって情熱的で熱烈で、物狂わしいほどの気持ちを美百合に示してくれる。
それをここでは、誰にはばかることなく遠慮することなく、美百合に教え込む。
教え込む、どこに?
――身体に?
「!」
龍一は本当にキレると、常人には考えつかない行動に出る。
身の内に秘めた熱情に抑えが効かず、つい暴走してしまうのだ。
つまり、
「……」
今回美百合は、ここで龍一に何をされるのか。
この絶海の孤島で、誰にも邪魔されず、龍一とふたりっきりで。
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