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「ここなら、お義父さんに遠慮することなく声を出せばいいぞ」
いつの間にか背後に立っていた龍一に、耳元でささやかれて、それはもう飛び上がるほどに驚いた。
それが悪魔の誘いじゃないかと思えるほど色っぽくて、美百合の背中にゾクリと電流を走らせるような迫力たっぷりな声だったら、なおさらだ。
振り返れば、目元にたっぷり、いたずらの色を含ませて笑っている超絶イケメン。
龍一の唇が触れた美百合の耳は、火を吹くように熱くなった。
「まさっ、まさか龍一、この間桃華に邪魔されたからって、私をこんなとこに連れてきたわけじゃないでしょーね」
龍一は、美百合の質問を余裕の表情で受け止める。
そして、
「さあ、ね」
思わせぶりに笑うから、美百合は思わずめまいを起こして、その場にへたり込みそうになった。
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