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懇願され、そろそろと顔をあげれば、傍らには美百合を切なげに見つめる超絶イケメン。
龍一は美百合を甘やかな色気が滲む瞳で見下ろしながら、
「美百合、今夜もとても綺麗だ」
真顔で言う。
日本人なら照れまくりもののセリフだけれど、龍一は普通の顔で言う。
一度家を出たら、二度と帰ってこられないかもしれない激務につく身だからと、言える時にはと言ってくれる。
それでも瞼が腫れている自覚がある美百合は、
「……ウソだ」
唇を尖らせれば、
「嘘じゃない。俺はお前に嘘はつかない。違うか」
ささやきながら、瞼に細かいキスの雨を降らせ始める。
龍一のキスがくすぐったくて、身を固くしながらも少しだけ頬の筋肉を緩めれば、龍一はようやくホッと安堵の息をついた。
そして、
「美百合、愛してるんだ。この世の誰より――」
美百合の唇に深いキスをする。
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