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『おい!担任らしき人が来たぞ!』
廊下側のドアから外の様子を窺っていた男子生徒がみんなに告げるように叫んだ。それを聞いてオレ合わせてクラスの生徒たちは自分の席に就いて無口になる。
さて、いったいどんなヤツが俺たちの担任になるのか。
自由にさせてくれるような面白い教師だと良いのだがそれはあまり期待しないでおこう。
教室の教卓側の扉が開く。
そして中に入ってきたのはオレと同じぐらいの身長で臀部まで伸びた異常に長い黒髪を纏めていない事で見た目が貞子みたいになっていて、スーツのボタンを掛け違え、ネクタイも雑に巻いている大人としては情けない女性だった。
も、もしかしてアイツがこのクラスの担任なのだろうか?
「‥おはようございます……私が…このクラスの担任の……まあ、名前なんて……どうでもいいですよね…」
めっちゃ根暗そうなヤツだああああ!
「早速ですが……これから皆さんには…実力テストを…受けて……もらいます…」
「せ、先生!実力テストとはどういう事ですか?」
「言葉の……とおりです…皆さんは落ちこぼれなので…個々の…能力を把握しておく必要があります…3分後、闘技場に集合して…ください」
そう言うと担任教師は静かに扉を開けて教室を出て行った。
「豪、あの先生はいったい何なんだ?」
「さあな……って!3分後ってここから闘技場は2kmはあるぞ!」
「はあ!?」
校内案内のパンフレットには軽く目を通したが確かにここから闘技場までは2kmはあったような気がする。それなのに3分で集合だって?
さすがに無理だろ!
いや、もしかして……
「豪!実力テストはもう始まっているのかもしれない!早く出発しよう!」
そう言って窓から外に跳んでそのまま飛行魔法で宙に浮く。
「わ、分かった!行こう!」
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