伝説の生徒会長!

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「行ってきます」 独り暮らしで誰かが応えることはないと知りながらも一般家庭では普通にやる挨拶をし、ドアを閉めると家の鍵を掛ける。 オレには親がいない。親戚の話によると両親はオレに物心がつく前に交通事故で死んだとの事だ。 だが別に寂しくはない。 何故かと言うと、物心つく頃には既に一人である事に慣れていたからだ。だからもし今両親と会っても何も思わないだろう。 とまあ、オレの身の上話はどうでも良いとして、さっさと学校に行くとするか。 「うおおおおお!退け退けええええぇ!」 踵を返した瞬間、オレンジ色の長い髪の女が物凄い勢いでオレの前を横切って行った。 その直後、彼女の生み出した風がオレに襲い掛かる。もしオレが女だったら今頃スカートが捲れていただろう。そしてパンツを見た男子が鼻血を出す、と。 「キャー!退いて退いてぇー!」 今度は一体なんだ? 声の聞こえた方向を見ると、アンティーク品と思われる原動機付自転車が物凄い勢いでこちらに向かって来ていた。 咄嗟に避けようとしたが時既に遅し、オレはバイクに轢かれた。 「痛たぁー……」 アンティーク品の持ち主である女の子が尻餅をついてぶつけたであろう後頭部を摩りながら上半身を起こした。だがこの体勢はマズい。 何がマズいのか? それは……… 「だ、大丈夫でーースッ!?」 女の子がオレの顔に跨っていたのだ。
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