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学校に着いてオレは顔を引きつらせていた。
「ああん?オレに喧嘩売ってんのか?」
入学式当日、銀髪ヤンキーが同じ学校の生徒を恐喝している。これは一大事だ。しかし入学式当日に騒動を起こしたくないオレにとって恐喝されている男子を助ける事ほどしたくない事はない。だが男子が涙目になっているからやはり助けるしかない。
「おい、そこまでにしてやれ」
恐喝犯の肩を掴んで無理矢理こちらを向かせる。
「んだテメェ?ぶっ殺されてぇのか?」
コイツ高校デビューだな。
普通のヤンキーはこういう感じに人を脅す事はしない。高校に上がったなら尚更だ。大体のヤンキーは丸くなるからここまで悪い印象を人に与える事は絶対にしない。
「相手は半泣きだぞ?弱い者いじめは良くない。ここらで止めてあげなよ」
と、高校生になって落ち着いたヤンキーのオレは相手を宥めるように愛想笑いを浮かべる。
「………ちっ」
ヤンキーは舌打ちすると両手をズボンのポケットに入れてこの場を去って行った。それを見て嘆息を吐く。
「大丈夫か?」
ヤンキーに絡まれていた男子に右手を差し伸べる、が。男子はオレの手を払いのけた。
「僕は弱い者じゃない!」
オレは怯んで一歩退いた。理由は相手が強い意志の籠った瞳をしていたからだ。
これ程強い意志を持った者を見るのは久しぶりだ。確か一年ぶりだろうか?あの男と似ている。
「バーカバーカ!」
男子は舌を出すと体育館に走って行った。
「何なんだアイツは……」
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