第1章

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「お客さん、電車来ましたよ」 「あら…そんな時間なんだ?」 中国地方の片田舎の駅で、いつも私は通学の為の電車を待っていた。 何せ片田舎ののどかな場所だから…電車なんて1時間に1本あるか無いか。 タイミングを逃せば遅刻は確実! だから…早めに来て時間を潰す。 本の世界にドップリ浸かってしまう私を知る駅員さんは、毎日いつも声をかけてくれていた。 それが続いた3年間… 「今までありがとうございました!」 「今日でしたね。 貴女もお疲れさまでした」 最後まで、駅員さんの優しい笑顔は変わらなかった。 そんな私は今は都会でモノ書きを仕事にしている。 また何時か…もう叶わない夢だけどあの時間に戻れるなら、戻って言いたいのだ。 「私…私、駅員さんが好きでした」 「ありがとう」 あの人は何時もと変わらない笑顔でこう、言うのだろうか?
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