第1章

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睨むような目付きだけでも直せたら少しはましになると思うんだけど、それがまた難しい。 ホント困ったもんだよな。 ヒョロガリまではいかないにしても筋肉も最低限しかない身体で、喧嘩なんかしたことないのに。 今まで吹っ掛けられてきた喧嘩は凄んだら皆逃げてくれたからセーフだっただけだし。 なのに皆酷いんだぜ? 俺がなんて言われてるか聞いてくれよ。 「死んだ魚の目をしてる」 「絶対人一人くらい殺っちゃってる奴」 「なんかヤバイ薬に手をだしてる」 酷いと思いませんか? 悪口以外の何物でもないでしょ、これ。 こんな勝手な人物像が独り歩きして今では誰も寄ってもこない。 何処に居てもチラチラ此方を伺いながら小さい声で(多分)俺の悪口言ってる。 そのくせ俺が見たら身体をびくつかせて視線を反らす。 絶対に目を合わせようとしない。 泣けるよね。 だから一年の後期くらいからクラスには全く顔を出さなくなった。 変わりに図書室で一日を過ごすようにしてる。 今はそれも暑さで怠いから完全に寮に引きこもってたんだけど。 そんな俺がわざわざ不快な思いをしてまで教室にやってきたのは今日がテストのある日だから。
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