2章 音を感じて

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眼を閉じていた 瞼を瞑っていた暗闇の世界から 光が差し込み ボンヤリと 風景が入り込む そして 気づいた 僕の 予想していたものは見事に外れ 想定していたリアクションを大きく上回る事になる。 予想外。想定外が ここまで重なる事もないのだろう。 思わず僕は声を発する。 なんて喋ったのか 本当に発したのかは分からない が。 喉から出る 喉から感じるものは確かに声と言うものだと 決定付けてもいいだろう。 「君。名前は?」 慣れたように彼女は手話で語りかけてくれた。 この時の心境を語るのなら 一言で言わせてもらえば 不思議 が正解のような気がする 僕はすかさず 手話で 彼女に語る事にする けれど 動揺がないといえば嘘になる。 彼女はそう。世間で言う美人に該当しそうなほど。 長く伸びた黒髪 少し焦げた肌に 吸い込まれそうな茶色い瞳 そもそも 皆が少し距離を置く中 ここまで 堂々と されれば 美人と不意打ち パンチから始まるコンボのようなもので 明らかに僕はKO寸前なのだった。 「僕の名前は、夜風。夜風尊。 君は?」
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