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奏多は半年経った頃から、健と華乃が家で一緒にいるとき、二人の前にやって来て、健にいちゃもんを付けるようになった。
「そのソファーは、父さんのお気に入りのカッシーナだ。お前が座るなんて100年早い」
この日もリビングにある噴水に座っていた、華乃と健の前に立つと、奏多は健に向かって言った。すぐさま華乃は注意する。
「やめなさい、奏多。そんなおっかない顔して」
しかし健は苦笑いをしながら
「ハハハ。俺、弟くんに相当嫌われてるみたいだな」
「ごめんね。気にしないでね」と華乃が健に対して謝ると、奏多は「家を汚すなよ、健」と冷たく言った。
「奏多!」
「良いよ華乃、別に。仲良くしようぜ」
「誰がおまえなんかと」
奏多はそう言い捨て、華乃と健が唖然と口を開けるなか、玄関ホールのよこにある大理石の扉のエレベーターで、自室のある五階へ上がって行った。
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