ヒトメボレ。

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何故だか分からないけれど。 君を見つけたあの時。 目が離せなくなってしまったんだ。 あの日、僕は寝坊して、いつもより遅い時間に駅にたどり着いた。 君は駅のホームで、たった一人ベンチに座って本を読んでいた。 僕は一目見ただけで、君の全てを「好きだ」と、思ってしまったんだ。 他にも人は何人もいたのに、あの瞬間、この世界には僕たち二人きりなんじゃないかって、錯覚した。 ついに君は、僕の視線に気付いてこちらを見た。 目が合った。 心臓が破裂するんじゃないかって、思った。 僕は思わず、声をかけてしまった。 「お、おはよう…!」 君はとても驚いた表情をしたけど。 嫌がらずに答えてくれた。 「おはよう…。…どこかでお会いしたことありましたっけ?」 僕は君に会うために寝坊したのかもしれない。 今日は、僕の運命の日だって、思ったんだ。
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