第壱章:入学式は波乱の幕開け

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教室にいち早く到着する雪。席を確認して着席する。 ざわざわと他のクラスメート達も教室に来たようだ。 (……騒がしいなぁ) と、一人のほほんとしている。 だが、ボーッとしているだけで、周りからガン見されている。 それに気付かず、窓際の席なので外を見ている雪。 キーンコーンカーンコーン──── チャイムが鳴り響いた。それを皮切りに、皆、自分の席へ座る。 ガラッ 扉が開き、出てきたのは、ホスト?いや、教師です。 チワワくんたちの絶叫ともとれる黄色い声援が響き渡る。 大人の魅力に溢れているのだ。 それを制し、ホームルームが始まる。 「んなら、いっちょ自己紹介してくれー。」 ……とんだ無茶ぶりである。 しかもほとんどが中等部も一緒だったので顔見知りだ。 それでも有無を言わさず自己紹介をさせる。 そして、雪の順番が回ってきた。 「おーい、七瀬 雪、自己紹介よろしく。」 するとおもむろに立ち上がり、「……七瀬 雪、外部生。……適当によろしく。」 と、だけ言って座った。 だが、クラスメートからは絶大な拍手が贈られたのだ。 そして、配りものを終え、ホームルームは終了した。これからは休憩時間だ。 「ねえねえ!」 雪は声を掛けられるが、自分とは気付かずボーッとしている。 「ねぇ、七瀬くんっ!」 これでやっと自分のことだと気付き、顔をそちらに向ける。 可愛らしい生徒がそこにいた。 中性的な顔をしていて、ほんわかしている子だ。男子にモテそうな。 「……どうしたの?」 雪は首を傾げてその天使ちゃんに言った。 「外部生なら、まだ分かんないこともあるだろうし、なにかあったら聞いてね?あっ、友達になりたいな!」 屈託のない笑顔を向けられる。 「……うん、よろしくね。」
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