第1章

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A「知ってるわよ。声をかけるのを我慢して、ズーッと隠れて見てきたんだから。私が死んでから50年間、命日には必ず会いに来てくれてた事。私の事を気にしてか、結婚しなかった事。嬉しかった。今日の命日にも、来てくれて…でも………。」 B「A子ちゃん。」 A「ゴメンナサイ。意地悪して…毎年見ていたから、お爺ちゃんなっていく様子を陰ながら見てたよ。でも、寂しかった。一緒に年を取りたかった。」 B「・・・。」 A「ねぇ。ちゃんと言って?」 君が、どんな言葉を求めているのか分からない。 私には、君を蘇らせる事や年を取らせる事もできない。 フッっと、ある言葉が浮かんだ。 こんな事を言っても… いや、今言わなきゃ後悔する。 B「A子ちゃん。私は今でも、こんな老いぼれ爺さんになっても、君と一緒に居たい。ズーッと昔から、好きでした。結婚してください。」 A「はい。ふつつかものですが、宜しくお願い致します。」 君は、嬉しそうに本を鞄にしまい いつもの場所から、1歩、2歩と私の所へ。 B「じゃ。行こうか。」 腕を組んで歩いてるけど… お爺ちゃんと孫の図にしか、ならない。 A「フフフ。」 君も、お爺ちゃんと孫だねぇ。なんて、思ったのかなぁ? B「何が、可笑しいんだい?」 A「えっ?だって、結婚記念日と私達の命日が一緒なんですもの。」 私には霊感がない。 だから、A子を見る事も話す事もできなかった。 そう、私が死ぬまでは…
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