第1章

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 10分ほどにらみ合っただろうか。良太の恐怖が限界を突破しようという時、干からびた感じの化け物も体がさらに干からびていった。今は太陽が一番高く登っている時間のようだ。水の中に生きていたこの化け物は暑さに弱いのだろう。しばらく見ていると、化け物は消えてしまった。  その後起きてきたおばあちゃんに事情を話すと、 「よくがんばったねえ、良太は強い子だ」  相変わらず良太の話をまじめに聞いてくれて、ほめてくれた。  これできっともう終わったのだろう。良太はおばあちゃんに抱かれながら安堵していた。  次の日には水たまりはなくなっていた。あの大きな水たまりの後も、この状態で見れば浅いものだった。もうすぐ道路の工事が始まる。あの化け物の住処だった場所はコンクリートによって埋められるのだろう。  良太は新しい長靴をおばあちゃんに買ってもらったが、もう水たまりを踏んで歩くこと
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