第1章

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「はは、それ子供の頃に流行った………!?」 妻が ゆっくりと振り返った。 真顔。 ザ・真顔。 目が笑ってねええええええええええええ!! 「ねえ、どうしたの。飲みたかったんでしょ、麩の味噌汁。」 「いや、その」 無意識に後ずさりしていたらしく、ダイニングテーブルに尻が当たる。 「二日酔いの朝はシジミと、噛まずに飲み込めるような柔らかい麩の味噌汁が飲みたいって、昨日言ってたんでしょ」 「ひい」 「どれくらいの柔らかさが良いかって言うと、って若い女の子のほっぺたとか胸を触ろうとして」 「あうう、覚えてないです」 テーブルに尻が乗り上げる。 「誰か味噌汁作ってってドン引きさせて」 「ま、待って。浮気じゃない。ちょっとふざけただけ。セーフ!!」 お玉は顎を固定する道具じゃありません。 つかいかた間違ってます、奥さん。 「セクハラ野郎は 人としてアウトなんだよ!!!!!!!」 そして脳天を叩く道具でもありません。 「すみませんでしたあっっ」 その後に土鍋で出された波打つ味噌汁。 その味はきっと忘れない。 恐怖の味噌汁【完】 ちなみに、妻の機嫌を取ろうとしてこっそりパティスリーに自転車を走らせたところ、噂通り行列が。 よし早めに来てよかった、開店三十分前に到着…………… あれ?9時開店じゃなくて10時!? 後一時間半!? 「□□□□□□!!!」 さあ、一緒に嘆きましょう。
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