1人が本棚に入れています
本棚に追加
その建築物は保存状態がよく、自然の侵食を免れていた。
内部の装飾からは、この土地の交通機関であったことが推測できる。
慎重に奥へ進むと、先行していた相棒がすっかりと貴重な古代遺跡に馴染み、寛いでいた。
相棒は妙なジンクスを信奉しており、その土地の衣装を身にまとい調査を行う。
あるいは、ここで文明が栄えていたころ、このような光景が日常だったのかもしれない。
「……なにをしている」
「読書という行為。これは印刷という技術を用いて、テキストを保存したもの――本と呼ばれていた。興味深い」
相棒は俺の怒気にも気付かず、上目遣いで答えた。
最初のコメントを投稿しよう!