第1章

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ずっと好きだった。 同じクラスで今私の目の前に座っている彼。 彼と二人きりの駅の待合室。 今にも心臓が口から飛び出そう。 でも、私の口から出る言葉はいつも正反対なものばかり。 今だって本読んでいる振りしているけれども内容はちっとも頭に入ってこない。 A:「…ねえ」 私は思い切って声をかけてみた。 B:「なに?」 彼は手元の携帯から目を離さずに答える。 A:「…ねえ」 私はもう一度彼に声を掛けてみる。 B:「なんだよ?」 彼はやっぱり携帯から目を離す事はない。 A:「私の事…」 私は聞こえるか否かの小さな声で聞く。 B:「好きだよ!」 彼は携帯を見たままイラつくように言った。 A:「え?」 私は彼の言葉に面喰ってしまった。 B:「あ~!うるせえなあ!」 そう言うと彼は携帯からはじめて顔を上げた。 その頬は少し赤くなっているように思えた。
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